姐さんは幼少の頃自分の孤独の埋め合わせとして鬼を求めました
笑ってという願いは心から笑えない自分の代わりを求めるという、深い悲しみの裏返し
鬼の付き添いがそれなりに功を奏して人間的に少しずつ成長を遂げた姐さん
ついには一国一城の主になれる程度に社会復帰ができました
けれど暫くして自分の死期を悟った姐さんが
このままこずえを道連れにするわけにはいかんと気が付き
こずえに対して自分をほかの人間と同様に餌として扱うようにさせたり
店を首にしたり島に”遊びに”いくよう言ったり
自分の死に囚われることのないよういろいろ取り計らいました
この頃にはもう姐さんはこずえに自分の代わりを求めてはいませんでした
姐さんの「笑って」という願いの持つ意味は時と共に変化していたのです
こずえはそんな姐さんの変化を目の当たりにしつつもその実、よくわかっちゃいませんでした
なにぶん人間が万回、脈を刻む間に鬼はまばたきひとつすら済まないのですから
感動も思考も対応もとてもとても追いつきません
明確にその命運を分けたのは姐さんの死
こずえは姐さんを追って逝ったのですが、なぜか名も無い鬼の存在が残ってしまいました
仕方がないので姐さんがいなくなったことで飢えに飢えている身をそのままにすることで
消えてなくなってしまおうと考えました
既に会話も成り立たないほどに存在として希薄になった頃
アルメさんに人間代表としての義憤をこめたビンタを受けたのを端に
ようやくなにかに気付き始めるのだけれど、時既に遅し
自分が種を撒いて鬼としてしまったPMの穂紫ちゃんに敗れて力尽きました(76日目練習試合)
人間と人間を糧にする鬼の歪な主従関係のお話
人間の生きる速さについていけなかった鬼のお話
これにてこずえの話はおしまい。
というわけで再度キャラ変更
遺跡外に一樹、狂い咲きの桜があるのだという
常に満開に咲く桜のもとには濃く深い陰が佇む
その深い陰の下には死体が埋まっているだとか
木陰を離れてもなお桜の陰がついてきただとか
そこで昼寝をしたら桜が見守ってくれるだとか
桜に願い事をすればどんなこともかなうだとか
そんな囁かな噂が実しやかに流れているそうな
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